2023年3月28日(火)午前11時半ごろ、京都の観光名物「保津川下り」で観光客の乗客26人と船頭4人が乗った舟が転覆した事故。
「保津川下り」を運営していた保津川遊船企業組合の安全対策は十分だったのでしょうか。
保津川下りで座礁事故
京都府亀岡市と京都市の嵐山にかけての川を下る「保津川下り」の舟が座礁し、転覆しました。乗っていた29人のうち、船頭とみられる1人が心肺停止だということです。
28日正午前、京都府亀岡市の保津川で、「後方で保津川下りをしていた舟が転覆した。二十数人が乗っていたと思う」と別の舟に乗っていた人から通報がありました。 川下りを運営する「保津川遊船企業組合」によりますと、午前10時半すぎに出た舟が30分ほど下った流れの激しい地点で座礁した後に転覆しました。
大人22人、子ども3人と、船頭4人の合わせて29人が、定員30人の舟に乗っていたとみられ、消防によりますと、船頭とみられる1人が心肺停止だということです。
組合は座礁当時、川は多少増水していましたが、風は強くなく「運航に問題はない」と判断したとしています。
「保津川下り」は、船頭が竹竿(たけざお)を使って舟を操り、およそ16kmの急流を2時間ほどかけて下る京都の観光名物で、3月12日に春の本格的な営業が始まったばかりだった。
(テレ朝NEWSより引用)
組合は事故当日会見を開きました。
関係者の男性「舟は午前10時40分に出航し、そのおよそ15分後、大高瀬という急流のところで空舵という操船ミスがあり、空舵を持っていた船頭が舟の外に落ちてしまった」
関係者の男性「その後、舟を急流に対して、体制を整えるために立て直したが、急流を出たところの渦で少し左に曲がって、左の石に正面から当たった」ということです。
保津川下りを体験した乗客も取材にコメントしています。
転覆した船の2便後ろの船に乗っていて救助活動のため現場の上流で2時間ほど待機してから、事故現場の横を通って下ったという男性(38)=大阪府貝塚市=
後ろの船に乗っていていた乗客男性「救助され、岸でシートをかぶっている人や、パニックで泣いている人もいた」
後ろの船に乗っていていた乗客男性「流れはそれほど速いと思わなかった」

保津川下り事故で救助されたとみられる乗客の画像。全員ライフジャケットを着用しているように見える。
保津川下りは、木材など丹波地方の産物を京都へ送るための産業水路として400年以上の歴史を持っています。
毎年3月10日~12月中旬がオープン船による夏季運行期で、今月3月12日(日)には、新型コ●ナウイルスの影響で4年ぶりとなった運航開始を祝うイベント「保津舟の日」も行われていました。
そのイベントの様子はフェイスブックのリールでも紹介され、舞妓さんの舞や太鼓の演技を行うなど、盛大に行われていました。

このリールでは、安全を願っている様子も映し出されています。
運営する保津川遊船企業組合の安全対策
運営する保津川遊船企業組合の安全対策は十分だったのでしょうか。
公式サイトを確認すると、救命胴衣を全ての乗客に装着を求めるアナウンスを行なっていることがわかります。
救命胴衣(ライフジャケット)は、よりご安全にご乗船いただくため、全てのお客様に装着をお願いしております。
大人用、子供用、幼児用をご用意させていただいておりますので、安心してご乗船いただけます。
ご乗船の際には、船頭が着用方法や使用方法など詳しく説明をさせていただいておりますので、皆様のご協力をお願い致します。
基本的に全員の乗客に、救命胴衣の着用を義務付けていたようです。
しかし、気になるコメントがありました。

保津川下りの運営会社|船頭さんの軽装に疑問

保津川下りの運営会社|船頭さんの軽装に疑問。救命胴衣非着用?
白いポロシャツをつけて、激しく漕いでいる船頭さんは、救命胴衣をつけていないように見えます。一方、ハッピを着た船頭さんは全員、ウエストポーチ型の救命胴衣「手動膨張式救命胴衣」を使用しているようです。

保津川下りの運営会社|船頭さんの救命胴衣着用画像
保津川下りのクチコミ「幼児連れは避けた方が無難」
10年以上前の投稿になりますがクチコミサイト「トリップアドバイザー」には、「幼児連れは避けた方が無難」という書き込みがありました。
他の川下りで事故があってから、この川下りも救命道具をつけることになりました。ただしベストのようなタイプではなく、ベルトのように腰に巻くタイプで子供用はありません。小学生低学年の子供には大きく、たすき掛けにしましたが、幼稚園以下だとそれでも大きくて、使い物になりません。先日の大雨で土砂崩れがあり、まだ大きな岩石がまでいつ落ちてくるのかと思うところに横たわっていました。船員の意識もそれほど高くなく、下船前に救命道具は回収していました。前に乗ると景色はよいですが、雨だとまともに向かい風で雨をうけるので、後ろの方に座るのをお勧めします。感想としては、時間が長く値段が高い。船員は前に座らせた若い女性とずっと話しているので退屈。(船員は話に夢中で進むのが遅く、後ろの船が追い付いていました。)家族で乗りましたが、もう乗らないでしょうね。
保津川下り過去の事故で船頭が死亡
京都府亀岡市から京都市の嵐山までの急流(約16キロ)のスリルを楽しむ「保津川下り」。
観光名物として家族連れにも人気ですが、今回の3月28日の事故とと同様の事故が、過去にも発生していました。
1998年には遊覧船が岩に乗り上げて浸水し、乗客26人が岸に避難するという事故が。
2001年9月、乗客19人と船頭5人が乗った船のへさきが岩に衝突。船は横転し、5人が雨で増水した川に投げ出されました。ほかの乗客は岩に避難し、流された5人も自力で岸へ泳ぎ着きましたが、船頭と乗客1人が軽傷。乗客1人が持病を悪化させて入院しています。
2006年には運行中の船に落石があり、乗客3人が重軽傷を負う事故も起きています。
2015年8月には、船尾でかじを取っていた船頭が川に転落。別の乗船員が救助したが、死亡が確認されています。
21日午後1時50分ごろ、京都市右京区嵯峨亀山町付近の桂川で、保津川下りの遊船から保津川遊船企業組合の船長、関斉利(まさかつ)さん(58)=京都府亀岡市吉川町穴川野水=が川に転落したと119番があった。別の乗船員が救助し、市内の病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。乗船客23人にけがはなかった。京都府警右京署は、死因や事故原因を調べる。
同署などによると、船には関さんを含む船長2人と船員2人が乗船。関さんは船尾で舵をとっていたが、別の船長と交代するため船首に移動しようとした際、何らかの理由でバランスを崩し川に転落したとみられる。関さんは事故当時、ライフジャケットを着用していなかったという。
桂川は連日の大雨の影響で増水していたが、現場付近は水深が約3メートルあり、流れは緩やかだった。(https://www.sankei.com/article/20150821-ALMAKGFBQBLG3J6TQG53VLJSUY/)
今回の事故の日、川は普段より増水していたということですが、過去の死亡事故の際も増水していたようです。
遺体で発見されたのは8年前に亡くなった関斉利さんの息子・関雅有さん
今回の保津川下りの事故で、船頭だった関雅有さん(40)が行方不明でしたが、事故から2日後の30日朝、事故現場から400メートルほど下流で見つかり、死亡が確認されました。
目立った外傷がなかったことから、関雅有さんの死因は溺死とみられています。
関雅有さんは、2015年8月に同じく船頭だった父親の関斉利さん(船の事故で死亡。当時58歳)の息子で、奇しくも同じような事故で亡くなってしまいました。
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